第1回目に「リスク」の意味についてお話ししたのですが、リスクを「損すること、危ないこと」と思い込んでいる方が多いためか、どうも投機的な行為を投資だと勘違いしているケースも多いようです。たしかに、「儲けるために損を覚悟しなければならない」ということであれば、バクチに似た行為と考える人がいても不思議ではありませんね。
儲けよう、つまり大きなリターンを狙おうとすると、どんな行動をとることになるでしょう。「過去のデータを分析し、将来の相場の方向性を予想する。そしてどこかの時点で一番有望と思えるものをまとめ買いする」といったところでしょうか。何よりも重要なのは相場勘とタイミングということになります。「投機」というのは「機(機会、タイミング)に投げる」と書きますが、往々にしてこのようなまとめ買いは投機的な行為になってしまいがちです。
なぜなら、行っていることをつきつめると、「勘と度胸でまとめ買い」ということになるからです。「親の遺言でやるなと言われる株式投資」は、こんな投機的な行為を指すのだと思います。狙うべきはブレが大きそうな商品や、FXなどのようにレバレッジをかけることで人為的にブレ幅を大きくできる商品ということになり、できるだけ短期間で値上がりしそうなものを捜そうとしがちです。そして、買った後は、株価が気になってしかたなく、時には「祈り」たくもなるでしょう。
もちろんそれがうまくいくこともありますし、覚悟の上での勝負というのを否定するつもりは全くないのですが、「儲けたいとは思うが、それよりも損をしたくないと思う気持ちの方が強い、一般的な生活者」にはお薦めできません。特に退職金のように「失うと困る資金」については、「勘と度胸と祈り」に頼るこんな運用スタイルは御法度といえるでしょう。