入門講座⑥:個人投資家の資産運用の王道は「負けにくい運用」(1)
退職金の運用についてのご相談が増えています。個人投資家のまとまった資金の運用方法について、何回かに分けてお話ししてみたいと思います。
私は、ファイナンシャルプランナーとして、多くの顧客から相談を受けていますが、50代以上のクライアントのほとんどが、金額の多寡に関わらず資産運用を考えています。ただその多くは、今ある資産を「増やすため」や「儲けるため」というよりも、しっかり管理しながら行う「失わないため」「守るため」の手段としての資産運用を望んでいます。それはアグレッシブな投資によって損失が発生しても、20代~30代であれば挽回するチャンスが何度か訪れる可能性が高いのが、50代以上はそれが難しくなるからだと考えられます。
実は、リタイア後に公的年金など以外に定期的な収入を見込みにくい団塊世代やすでに定年退職している世代にとっての一番の経済的なダメージは、インフレによって預貯金(退職金を含む)などの現金の価値が目減りすることといえます。それに備えるためにも、資金の一部で株式投資などによる資産運用を行っておくことが必須なのです。しかし、株式投資などリスクのある運用では、失敗すると大きく資産を減らしてしまうこともありえます。
それでは、いまある資産を減らさないためにはどんな運用方法がふさわしいのでしょうか。資産を減らさないために必要なのは、高度な投資手法を覚えて、高いパフォーマンスを追求することではありません。一番重要なのは「負けにくい資産運用」の方法を身につけることだといえるでしょう。
(2)へ続く