入門講座⑤:何故分散投資を行うべきなのか?
(アインシュタイン曰く「複利は20世紀最大の発見である」)
前回はなぜ長期投資を中心に考えるべきなのかについてお話ししましたが、今日はなぜ分散投資を行うべきなのかについてお話ししたいと思います。当社は5~10年以上の運用期間で考える「資産形成」や「ファミリープロテクション(資産防衛)」のための株式投資をご提案することが多いのですが、その場合でも株式だけに集中的に投資することは、決してお薦めしません。それは、株式投資だけでは長期的な資産形成でどうしても味方につけたい「複利効果」を充分に活かしきれないからです。
たとえば、1000万円の運用を考えてみましょう。Aさんは1年目+10%、2年目+20%、3年目-20%、4年目+10%という運用成果だったとします。4年間の年平均騰落率は(10+20-20+10)÷4=5%です。一方、Bさんは1年目+6%、2年目+8%、3年目-2%、4年目+6%だったとします。Bさんの年平均騰落率は(6+8-2+6)÷4=4.5%になり、Aさんの方が上回っています。
また、AさんとBさんの各年の運用成績を比較しても、一見「3勝1敗でAさんの勝ち」というようにも思えます。しかし、一覧表の最後を見るとわかるように、4年後の元利合計額は、Aさん1161.6万円に対してBさん1189.2万円と、Bさんが30万円近くも多くなっており、圧勝なのです。これはAさんが3年目(-20%)に複利効果を敵に回してしまったのが原因です。実は複利は両刀の剣的な性格を持っています。運用がプラスならばそのプラスをさらに増やしてくれる力強い味方となるのですが、逆にマイナスだとそのマイナスを拡大させる方向に働いてしまうのです。
複利効果を味方につけるためには、Aさんのような「勝ったり負けたり」を繰り返す運用ではなく、Bさんように地味に見えても「負けにくい」運用を心がけるべきなのです。株式投資だけでは、どうしてもAさんスタイルの運用になってしまいがちです。長期運用では「カメはウサギに勝つ」ということを覚えておきましょう。そして、いかに負けにくくするか(=ダウンサイドリスクを小さくするか)を実現する方法が「分散投資」なのです。
昔話でカメがウサギに勝った理由は、「ウサギはカメを見て走ったり休んだりしたが、カメはゴールを見て走り続けたから」でしょう。ライフプランを実現するというゴールを目ざして行う運用では、まさに「カメスタイル」が正解といえるのです。