個人投資家が「時間」を武器として利用しようとすると、同時に強力な味方を得ることができます。それが「複利効果」です。「複利効果」は、投資によって得られた収益を再度、投資元本に組み入れて運用することで得られるものです。長期保有では特に「複利効果」が力を発揮します。しかし、値動きがあるものへの投資では価格が必ず上げ下げするため、複利運用を行う場合、プラスとマイナスの両方の複利効果が出てきてしまいます。資産運用では、このマイナスの複利効果が大敵となるのです。
詳しくは入門講座⑤をご覧ください。
通常、株式投資だけを行うと、株価が上げ下げを繰り返すなかで、「下げ」の状態のときにマイナスの複利効果が働き、資金が大きく減ってしまうことになります。
長期運用で複利効果を味方につけるには、勝ち負けを繰り返さないこと、特に大きなマイナスを被らないことが肝心なのです。
以上の3つのポイントを押さえた投資方法として、私は長期的な国際分散投資をおすすめします。「負けにくい資産運用」を実践しようとする場合には、いかに負けにくい状況を作り出すのかが重要になってきます。そのためには集中投資ではなく、値動きの違う商品を意識的に組み合わせることが望ましいのです。具体的には、日本株、外国株、日本債券、外国債券、の4つを基本とし、これにREIT(不動産投信)や商品(コモディディ)などを加えた組み合わせです。
運用資金をいくつかの投資対象に分けて投資し、それぞれの比率を決めたときに、負けにくい状況が作られたことになります。性質が違う複数の商品に同時に投資することで、安定的に収益を上げることができる、いわゆる「ポートフォリオ運用」が個人投資家でも可能になるわけです。
(5)へ続く