入門講座⑪:個人投資家の資産運用の王道は「負けにくい運用」(6)

最後のポイントとして、ポートフォリオ運用では、定期的に「リバランス」をすることが重要です。

 

リバランスとは、ポートフォリオ運用を行う際に相場の変動によって変化した投資配分の比率を、ポートフォリオの一部を売ったり、買い増したりして、元の比率に戻すことをいいます。例えば、当初4つの商品を25%ずつ均等に組み合わせて分散投資を始めても、値上がり、値下がりによってその比率は変化していきます。それを、当初設定した比率に意識的に修正するのがリバランスです。リバランスを1年に1~2回程度行うと、さらにマイナスを被りにくくなり、リターンの向上につながる可能性が高くなります。

 

リバランスと対照的な比率変更の考え方として、「リアロケーション」があります。日本株による運用が好調なのでさらに比率を高めるというように、相場の状況を見極めて、機動的に各資産への投資比率を変更するという方法です。一見、合理的に思えるこの方法では、結局は運用成果は相場次第というポートフォリオに変更することになり、大きなマイナスを被る可能性を高めることにつながりかねません。自分自身の相場観を持つ、投資の中~上級者になって初めて行うことと思っておいた方がいいでしょう。

 

個人投資家がマネーゲームに翻弄されないためには、感覚的に「いまが買いだ」と判断して集中投資をするのではなく、戦略的な資産形成を考えなければいけません。そうすれば、株式相場の下落局面でも慌てずに投資を続けることができるからです。失ってはいけない、まとまったお金の運用を考えるのであれば、少なくとも12年かけて、じっくりと「負けにくい」ポートフォリオを構築するべきだといえるでしょう。(完)