個人投資家がポートフォリオ運用を行おうとするときに、たいへん役立ってくれる商品が
投資信託です。何回かに分けて、投資信託の選び方の基本をご紹介したいと思います。
銀行や郵便局でも投資信託が販売されるようになって10年以上が経過し、実際に投資信託を保有している人もかなり多くなってきました。しかし、中には「株式は難しくてよくわからないが、投資信託なら買って持っていればあとは運用会社が全部やってくれる。だから預貯金みたいなもので、成績がよいものを選べば儲かるだろう」というような考え方の人もおられるようです。このような考え方でまとまった資金を投資すると、気がつかないうちにとんでもないリスクを背負い込むことになりかねません。
現在運用中の投資信託の数は数千本。いつでも購入できる株式投信の追加型だけでも、三千本以上あるといわれます。これだけ多いと、一般の投資家がその中から自分のニーズや考え方にマッチしたファンドを見つけ出すのは容易ではないでしょう。そこで、自分のニーズに合ったファンドを購入するために、どうしても知っておきたいことやチェックしておきたいポイントについてお話ししてみたいと思います。
(1)過去の実績(パフォーマンス)だけを見た判断は禁物!
ファンドを選択しようとする場合に、どうしても気になるのが過去の騰落率(パフォーマンス)でしょう。過去の実績だけでファンドを購入するのは、バックミラーだけを見て車を運転しようとするようなものといえます。
たとえば前年が、新興国の株式相場が上昇した年ならば、騰落率の上位に並ぶファンドのほとんどが新興国ファンドになるでしょう。つまり、そのファンドの投資対象となるマーケットがその間上昇傾向にあったという場合がほとんどですし、高い運用実績をあげるために必要以上のリスクをとっているようなケースもありえます。他にも、運用の主要担当者が突然会社を辞めたり、運用手法が途中で変えられるという可能性もあるのです。したがって、特に長期保有を考える場合には、過去の実績(リターン)については、あくまでも参考資料のひとつとして捉えた上で、「リスクとリターンのバランスがとれているファンド、トップでなくてもよいから、安定的に平均以上の実績を残しているファンド」を選ぶようにすべきです。
(2)へ続く