入門講座21:賢い投資信託の選び方<実践編>(2)

(2)シャープレシオの計算方法

  

シャープレシオについては、簡単に投信ごとの数値を確認できるサイトなど(これについては、あとでお話しします)があるので、自分で計算できるようになる必要はないのですが、シャープレシオが何を意味しているかを理解するために、計算方法について触れておこうと思います。

 

シャープレシオは、「1リスク当たりのリターン」で算出されます。

 

具体的な算式は次のようになります。

 

シャープレシオ.bmp分子のリターン部分は、投信のリターンから無リスク利子率を差し引いた「超過リターン」が使われます。

 

無リスク利子率とは、リスクを取らずに実現できるリターン、すなわちリスクゼロに対応するリターンといえます。

 

分母にあるリスクの値に対応するのは、無リスク利子率を上回ったリターン部分ですので、無リスク利子率を引いているわけです。

 

無リスク利子率としては、短期金融市場の無担保コール金利などが使われますが、個人の資産運用でしたら、普通預金の金利を考えればいいと思います。

 

また近年の日本のようなゼロ金利状況下では、あえて差し引く必要もないでしょう。

 

一方、分母のリスク部分には、リスクの大きさ(ブレ幅)である「標準偏差」が使われるのですが、リターンとリスクの計算方法については、次回以降、詳しく説明したいと思います。

 

上の「シャープレシオ」の算式を概念図で表すと、下図のようになります。

 

 

シャープレシオ_2.bmp

この図の縦軸は投信のリターンを表していて、上に行くほどリターンが高くなります。

 

横軸は投信のリスクで右に行くほどリスクが大きくなることを示しています。

 

図の中で、左上に位置しているほど(◎)、つまり「傾き」が大きいほど、小さいリスクで高いリターン(ローリスク・ハイリターン)が達成されていることになります。

 

この「傾き」こそが、リターンをリスクで割ったシャープレシオにほかなりません。

 

傾きが大きい、つまりシャープレシオの数値が高いほど、運用効率が良かった投信といえるわけです。

 

 

(3)へ続く