(8)シャープレシオを使った投信評価③
もう一つ、投信Bと同程度のシャープレシオを持つ投信Dがあった場合には、どちらを選ぶべきかを考えてみましょう。
【ケース3】 シャープレシオが同じくらいの2つの投信を比較する
新たに登場した、投信Dの過去5年間のリターンは以下の通りです。
<投信Dのリターン>
1年目 + 8%
2年目 - 1%
3年目 + 6%
4年目 + 2%
5年目 +10%
平均リターン +5.0%
標準偏差を計算すると、 4.0%となりました。
※超低金利であることから、ここでは無リスク利子率をゼロとして計算
投信Dは、年平均リターン5.0%、年率標準偏差4.0%、シャープレシオは「1.25」となりました。
シャープレシオが同じなのですから、投信Bと投信Dは運用効率がほぼ同じと考えられますが、リスク、リターンとも投信Dの方が小さくなっています。
つまり、投信Dは得られる収益が少ない分、値動きも比較的小さい投信といえます。
一方の投信Bは投信Dに比べ、調子のいいときはより大きな収益が期待できますが、悪いときにはより大きく落ち込むタイプです。
このような場合には、一般的には、個々の投資家が求める期待リターンとリスク許容度の2点を勘案して投信を選択することになります。
高めの収益を目指す人や、マーケットが上昇局面に入ると予想する人であれば投信Bを、リターンは低めでもいいからリスクを抑えて長期的にじっくり運用していこうという人なら投信Dを選ぶということになるでしょう。
(9)へ続く