③リタイア層(60歳代〜)の活用法
■「ゆとり資金(受取りたい資金)」の個人年金商品での活用
毎月の生活費の不足分やお小遣いを貯蓄から取り崩している、という人も少なくないようです。
そんな人には、NISA口座で分配型のファンドを購入し、運用しながら毎月分配金を受取っていく、という活用法が考えられます。
NISA口座でファンドを購入すれば、本来受取る分配金にかかる20.315%の税金は一切かかりません。
特に定期的な分配金を個人年金代わりにしたいという、リタイア後の世代のニーズに対応する活用法といえるでしょう。
ご夫婦お2人で毎年120万円ずつ分配型のファンドを購入していけば、最大で投資元本1200万円分のファンドから、非課税で分配金を受取ることができるわけです。
例えば、NISA口座で分配型ファンドを120万円分購入し、毎月5000円の分配金(普通分配金のみ)を受取る場合、分配金がずっと変わらないとすれば、非課税期間の5年間の合計で、6万円強の税金を払わずに済みます。
お2人で5年間継続して毎年120万円分ずつ購入していけば、そのメリットは大きくなります。
ただし、注意したい点があります。
投資家が受取る分配金には、税金がかかる「普通分配金」と、税金がかからない「特別分配金」の2種類があります。
税金がかからない分配金とはどういうものでしょう。
投信は値動きのある商品で運用するため、投資対象の価格が下がり、信託財産(投資家から集めたお金)の評価額が小さくなっている(=基準価額が下がっている)ときに分配金を払い出すと、購入時の基準価額(個別元本)によっては、当初の投資資金の一部が払い戻されるということが起こります。
この部分が特別分配金、または元本払戻金と呼ばれるものです。
自分が出したお金が戻ってくるだけなので、収益とはみなされず、税金はかかりません。
そのため特別分配金には元々税金はかからず、非課税のメリットを活かすことができません。
値動きの大きめな商品は、安定的に高額の普通分配金を払い出すことが難しいと考えられるため、毎月必要とする分配金の金額にもよりますが、一般的にはNISA口座で毎月分配型のファンドを購入する場合には、値動きが小さめの、普通分配金を中心に払い出すタイプのものを選ぶ方が無難といえるでしょう。