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「趣味としての投資」と「仕事としての運用」とではまったく異なる投資スタイルになるということはすでにご説明した通りです(本ブログ「趣味としての投資」と「仕事としての運用」①「趣味としての投資」と「仕事としての運用」)。

 

このうちFPの行う運用アドバイスは「仕事としての運用」についてのものが一般的です。ただし、日本人の10人に12人は「趣味としての投資」を行っていて、この場合はブル・ベア型の投信などを活用した短期売買スタイルを除けば、投資信託よりも個別株式への投資を好む人が多いと思われます。

 

そういうお客様に対して、投資に成功する確率を上げるためのアドバイスを行うこともあります。

 

今回は、個別株を中心に「趣味としての投資」を行いたいという人であれば、知っておくべき株式市場の循環性についてお話ししたいと思います。

 

 

株式市場は金利動向と企業実績の両者の影響を受けながら、「金融相場→業績相場→逆金融相場→逆業績相場」という循環を繰り返しています。

 

この中で株価が上がりやすい時期は金融相場と業績相場であり、逆に下落しやすい時期は逆金融相場と逆業績相場になります。

 

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今がその循環のどの辺りに当たるのかを考えながら、「もうかりやすい時期にもうける」というのが、趣味の株式投資を行う際の基本スタンスと言えるでしょう。

 

今がどの局面に当たるのかを考える上で大きなヒントになるのが、経済関係のニュースなのですが、それぞれの局面でどんなニュースが流れるかを一覧表にしてみました。参考にして頂ければと思います。

 

株式市場の局面(上昇)訂正①.png株式市場の局面(下降)訂正①.png

<投資観とは何か>

長期的にお金にも少しは働いてもらおうという「仕事としての運用」を行うためには、まず「長期」、「分散」、「積立」が何故重要なのかということをしっかり理解しておく必要があり、「趣味としての投資」との違いを認識した上で商品選択を行わねばなりません。

 

私はそれらについての考え方を総称して、「相場観」に対する言葉として「投資観」と呼んでいます。

 

 

■なぜ長期投資なのか

 

長期投資を行うべき最大の理由は、投資対象の成長には、ある程度の時間が必要だからです。

 

短期の売買では、利益を得る人の裏側には、損失を被る人がいるという、ゼロサム(誰かの儲けは、売った人が儲けそこなった分で、合計するとプラス・マイナス・ゼロになる)ゲームでの勝者を目指そうとする投機的な行為になりがちです。

 

しかし、長期的に成長し、価値が増していく企業などに投資を行えば、ある程度時間はかかるでしょうが、その企業の株主全員が利益を得ることができます。

 

これは企業の成長によって、投資している対象の価値がプラスサム(合計がプラス)になるからです。

 

投資の本質は成長にあり、成長する可能性が高いものに資金を投じてプラスサムになるのを待つ長期投資スタイルこそが、情報量や資金量ではプロにかなわない立場で、資産形成を目指す個人投資家にとって王道と言われる理由なのです。

 

(詳しくは入門講座の④をご参照下さい。)

 

 

■なぜ分散投資なのか

 

長期投資を行う場合に重要となるのが「複利効果」です。

 

運用期間が長くなるほど、複利の効果は高まります。

 

この複利効果を味方につける際にポイントになるのが、価格のブレ(リスク)の大きさです。

 

ブレの大きな運用では値下がり時に複利効果がマイナス側に働いてしまい、せっかく積み上げてきた資産を大きく減らしてしまうことにもなりかねません。

 

マーケットの状況に応じて儲かりそうなものを見つけようとすること以上に、値下がりに備えるためにできるだけブレを抑えた運用を心がけるべきなのです。

 

リスク・テイクを行う趣味の投資では、儲かりそうもないものに投資するなどということは考えもしないでしょうが、ブレを抑える(=リスクをコントロールする)ためには、儲かりそうなものだけでなく、あえて儲かりそうもないものを組み合わせたり、値動きの異なる複数の投資対象に分散して投資を行うことが最も重要なポイントになります。

 

 

それが分散投資を行うべき理由なのです。

 

(詳しくは入門講座⑤をご参照下さい。)

 

 

■なぜ積立投資なのか

 

いくら分散して長期的に運用を行うとしても、価格が高い時期にまとめて購入してしまうと、その後の値下がりを挽回するのに時間がかかってしまい、運用の成果も期待しにくくなります。

 

値上がりしそうなものを当てに行こうとする「趣味としての投資」であれば、安くなるのを待ってまとめ買いすることを考えるのでしょうが、いつが高いか安いかの判断や将来の価格の動きを予測することはプロでも難しいので、購入する時期を分けることが高値掴みを避けて、そこそこの運用リターンを目ざす「仕事としての運用」では、シンプルでありながらたいへん有効な方法になります。

 

また、投資を行った後に価格が下落を始めるとどうしても暗い気分になりがちですが、定時・定額買付け方式の積立投資であれば、価格が下がるとたくさん買えることになります。

 

その後に投資対象の成長に伴って価格が上昇を始めると、比較的早いうちから利益が出始めるのが積立投資の特徴といえます。

 

(詳しくはNISAの活用法(1)をご参照下さい。)

 

 

つまり、価格の下落時にはたくさん買えていると考えればいいわけで、値下がりに対する心理的なストレスをあまり強く感じなくてすむはずです。

 

運用に不慣れな投資の初心者にとっても始めやすい投資方法といえ、実は、定額買付けのスタイルは「仕事としての運用」にマッチしていると言えるのです。

③リタイア層(60歳代〜)の活用法 〜その3 

 

贈与資金の受け皿として活用

 

 

■贈与と組み合わせて活用したい

 

20151月以降、相続税の基礎控除額(非課税枠)が以前の「5000万円+1000万円×相続人の数」から、「3000万円+600万円×相続人の数」に引き下げられました。

 

以前なら課税対象ではなかった人も、相続税を支払う可能性が出てきています。

 

そこで、生きているうちに子供や孫に少しずつ資産を贈与し、相続時の財産を減らしておこうと考える人も増えているようです。

 

NISAの活用法(7).bmp

NISA20歳以上で日本に居住していれば誰でも口座を開くことができ、19歳以下であってもジュニアNISAを利用できるようになったので、リタイア世代が子供や孫に贈与した資金を、それぞれのNISAやジュニアNISAの口座で運用するということが考えられます。

 

資金を贈る側、受取る側を合わせれば、あらゆる世代に考えられる活用法ともいえるでしょう。

 

一般的な贈与の場合、基礎控除(毎年110万円)の範囲内であれば贈与税がかかりません。

 

仮に、2人の子供に毎年100万円ずつを5年間贈与し、その資金がNISA口座で運用されていけば、合計で1000万円の資金を非課税で移転でき、運用益にも税金がかからずに済むわけです(ただし、実際に行う場合には、まとまった資金の贈与と認定されないように、毎年の贈与金額を少しずつ変更するなどの工夫が必要になるかもしれません)。

 

子供や孫の世代では、資産形成を目的とした積立て形式での長期運用が最も効果的と考えられ、この場合には複利効果を高めるためにも、できるだけ分配金を出さないタイプのファンドで、将来の成長が期待できる投資対象に投資を行うタイプのものが有力な候補になるでしょう。

 

 NISAの活用法(7)_2.bmp

③リタイア層(60歳代〜)の活用法 〜その2

 

インフレ等に備える「残す資金」の運用口座として活用

 

リタイア後の家計にとって、最大の敵は「インフレ」といえるでしょう。

 

現役世代ならば、物価の上昇に合わせて給料もある程度上がることが期待できるでしょうが、公的年金の支給額は増えにくい仕組みになっている上に、保有している資産の価値が物価の上昇と共に低下していくことになるからです。

 

NISAの活用法(6)_1.bmpそこで、将来のインフレへの対策として、特に使用する予定のない余裕資金(残す資金)の一部で、物価上昇時に価格が上昇する傾向のある金融商品をNISA口座で毎年120万円分ずつ購入し、将来のインフレに備える保険的な位置付けで保有し続けるという方法が考えられます。

 

長期的にはインフレ抵抗力があるといわれる代表的な金融商品に株式がありますが、個別銘柄の株式はどうしても値動きが大きくなりがちなこともあり、投資するのに躊躇してしまう人も少なくないでしょう。

 

 

インフレ対策としての運用の目的は、資産を大きく増やすことではなく、あくまでも保有資産の価値を保全することですから、リタイア世代やプレリタイア世代では、複数銘柄の株式をある程度組み入れたバランス型のファンドや、インフレ時の通貨価値の下落に備えられる外貨建ての債券やREITで運用されるファンドなどが有力な選択肢になるでしょう。

 

幸いにしてインフレが発生しなければ、もともと「残す資金」の一部のはずなので、そのまま次世代に継承してもらえばいいと思います。

 

 

なお、長期間の運用を行う場合には複利運用が効率的といえるため、できれば分配金を出さないタイプのファンドで、ロールオーバーしながら10年以上運用を継続すれば、インフレに対する保険としての効果をより期待できるでしょう。

 

NISAの活用法(6)_2.bmpのサムネール画像

③リタイア層(60歳代〜)の活用法

 

「ゆとり資金(受取りたい資金)」の個人年金商品での活用

 

毎月の生活費の不足分やお小遣いを貯蓄から取り崩している、という人も少なくないようです。

 

そんな人には、NISA口座で分配型のファンドを購入し、運用しながら毎月分配金を受取っていく、という活用法が考えられます。

 

NISA口座でファンドを購入すれば、本来受取る分配金にかかる20.315%の税金は一切かかりません。

 

特に定期的な分配金を個人年金代わりにしたいという、リタイア後の世代のニーズに対応する活用法といえるでしょう。

 

 

ご夫婦お2人で毎年120万円ずつ分配型のファンドを購入していけば、最大で投資元本1200万円分のファンドから、非課税で分配金を受取ることができるわけです。

 

例えば、NISA口座で分配型ファンドを120万円分購入し、毎月5000円の分配金(普通分配金のみ)を受取る場合、分配金がずっと変わらないとすれば、非課税期間の5年間の合計で、6万円強の税金を払わずに済みます。

 

お2人で5年間継続して毎年120万円分ずつ購入していけば、そのメリットは大きくなります。

 

 

ただし、注意したい点があります。

 

投資家が受取る分配金には、税金がかかる「普通分配金」と、税金がかからない「特別分配金」の2種類があります。

 

税金がかからない分配金とはどういうものでしょう。

 

 

投信は値動きのある商品で運用するため、投資対象の価格が下がり、信託財産(投資家から集めたお金)の評価額が小さくなっている(=基準価額が下がっている)ときに分配金を払い出すと、購入時の基準価額(個別元本)によっては、当初の投資資金の一部が払い戻されるということが起こります。

 

この部分が特別分配金、または元本払戻金と呼ばれるものです。

 

自分が出したお金が戻ってくるだけなので、収益とはみなされず、税金はかかりません。

 

 

そのため特別分配金には元々税金はかからず、非課税のメリットを活かすことができません。 

 

値動きの大きめな商品は、安定的に高額の普通分配金を払い出すことが難しいと考えられるため、毎月必要とする分配金の金額にもよりますが、一般的にはNISA口座で毎月分配型のファンドを購入する場合には、値動きが小さめの、普通分配金を中心に払い出すタイプのものを選ぶ方が無難といえるでしょう。

 

 

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